「従業員エンゲージメント」と「従業員満足度」は何が違う？それぞれの構成要素・調査方法

「従業員満足度」という言葉は、すでに広く認知されるようになりました。文字通り従業員の満足度を示す指標で、定着率アップやモチベーション向上のため、その改善に取り組まれている企業は多いはず。
今回ご紹介する「従業員エンゲージメント」は、なんとなく従業員満足度に近いニュアンスを感じる方も多いのではないでしょうか。
実はこの２つ、似て非なるもの。そして、この「従業員エンゲージメント」こそが、企業の成長に大きく寄与する指標と言えるのです。従業員エンゲージメントと従業員満足度、何が違うのか。それぞれの構成要素・調査方法を含め解説していきます。

従業員エンゲージメントは、「会社への献身」

従業員満足度は、会社から与えられる給与や福利厚生、評価制度などに対する充足度を示す指標。一方の従業員エンゲージメントは、「会社への献身」。会社から与えられるだけでなく、それに対して意欲的に貢献していく意思を指しているのです。
つまり、企業と従業員の関係値として、従業員満足度の１つ先にある考え方と言ってもよいかもしれません。

具体的な構成要素としては、従業員満足度が企業風土や対人関係、報酬水準、評価や処遇への納得感などが主となるのに対し、従業員エンゲージメントは「やりがい」や「ビジョン」が重要な要素となります。会社の事業や方針に共感を抱き、貢献する意思があるかどうかで、当然モチベーションは変わってくるというわけです。

従業員エンゲージメントが高い＝会社へ貢献する意識が強いと、離職率の低下はもちろん、業績にも直結します。実際に、従業員エンゲージメントの向上によって、顧客満足度や売上が急上昇した事例がいくつもあるのです。
ぜひ、この指標を意識し改善に取り組むようにしましょう。

従業員エンゲージメントの計測方法とは

では、この従業員エンゲージメント。どのように調査することができるのでしょうか。
基本的にはアンケート調査が中心となりますが、中でも代表的なのは「eNPS調査」。
Employee Net Promoter Scoreの略で、「従業員による推奨度」という意味合いを持ちます。
顧客のロイヤリティを図る「NPS（顧客推奨度）」は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。つまり、NPSの対象を従業員に置き換えたものがeNPSなのです。

そして調査方法は、この和訳の通り。「この職場で働くことを、親しい友人や知人にどの程度おすすめしたいですか」という一問だけを問いかけ、0から10の11段階で評価してもらいます。回答者のうち、9~10点を推奨者、7~8点を中立者、0~6点を批判者と分類し、批判者の割合を推奨者の割合から引いた数値を求めます。これを過去の数値や同業他社の数値と比較し、それを元に改善を繰り返していくという流れになります。